脂質異常症
日本では成人の約2.5人に一人が脂質異常症疑いといわれています。
脂質異常症は動脈硬化の危険因子の一つに挙げられ、厄介なことに高血圧や糖尿病と違い自覚症状はありません。動脈硬化が進み脳卒中(脳梗塞・脳出血)や冠動脈疾患(心筋梗塞や狭心症など)を引き起こしてわかることもあります。
脂質異常症の治療により脳卒中は約20%、冠動脈疾患は約20~30%発症が減少する解析結果が出ています。
皆さんはどうしますか。いま40代で心筋梗塞や脳梗塞を起こす人は稀ではありません。
ぜひ健康診断や人間ドックで異常値を指摘された場合はご相談ください。
症例 52歳 男性 身長 170cm、体重 80kg、BMI 27.7、腹囲 92cm
20歳から30本/日の喫煙をしており、家族歴に父親が心筋梗塞、兄は糖尿病がある。
5年前から管理職になり会食の機会が増え、体重が約15kg増加した。運動はたまに接待でゴルフをするくらいである。
数年前から健康診断で異常値を指摘され、今年の検査結果は総コレステロール 260mg/dl、LDLコレステロール187mg/dl、HDLコレステロール40mg/dl、中性脂肪
160mg/dl、血圧が170/92mmHg、随時血糖値200mg/dlであった。
この患者さんに今後10年以内における冠動脈疾患による死亡確率をみると(参照:NIPPON DATE80)5~10%。つまり100人いたら今後10年間に5~10人が冠動脈疾患で死亡する事を示しています。
この患者さんの問題点として
- 1. コレステロール値が高値
- 2. 運動習慣がないこと
- 3. 肥満体形である
- 4. 生活習慣病の濃厚な家族歴がある
予防・治療のメリットとしてほかの病気と違って自覚症状がない病気ですから、いまから生活習慣を改善したって変わらないのではと思っている方が多いのではないでしょうか。
自覚症状が出た時は動脈硬化がどうしようないくらいまで進行しており手の施しようがないという事です。だからこそ生活習慣の改善を行う事で心筋梗塞や脳梗塞を予防する価値があると考えてはいかがでしょうか。