陥入爪・巻き爪
本症の原因は深爪、遺伝・体質、外傷などと言われています。爪の角が皮膚や肉に食い込み炎症や痛みを起こしている状態を陥入爪といい、爪が両側縁に向かって筒状に丸く深く変形しているのみで痛みを伴わない状態を巻き爪と言います。陥入爪と巻き爪が合併した状態もしばしば見受けられます。また陥入爪では爪の刺激により爪の辺縁に赤い隆起する組織(肉芽腫)が出来てしまうことも珍しくありません。
頻度的には母趾に多い印象ですが他の趾や手の指になることもあります。
当院の治療ポリシー
本症に対する治療方法は各人の爪の状態や症状によって異なりますので当院ではいくつかの方法を準備しております。その為に当院では軽症~重症例まで対応が可能です。
また手術が必要な場合、状況によっては日曜日や祝日の対応も可能です。
陥入爪・巻き爪の治療法
陥入爪では重症度ごとに治療法を選択する必要があります。
軽症~中等症の場合
痛みはあるが爪の辺縁に肉芽腫が出来ていない場合もしくはサイズの小さい肉芽腫の場合
内服、外用療法
抗菌薬の内服と外用、痛み止めの内服を行います。
アンカーテーピング法
弾性力のあるテーピングを用いて爪縁と皮膚を引き離し爪が刺さることによる炎症を抑える方法です。御自身で管理が可能な治療法です。
ガター法
ガター法というのは痛みのある爪と皮膚の間にチューブを挿入し痛みを軽減する治療法です。多くの場合術直後より痛みが軽減できるのですが従来の方法では日常生活動作によって挿入したチューブがずれてしまうこともしばしばでした。そこで当院では従来法に一工夫することでガター法の有効性を高め施術を行っております。
陥入爪の痛みでお困りの方にはアンカーテーピング法と併せてまず試して頂きたい治療法です。
ガター法についての詳細はこちら
中等症~重症の場合
強い痛みがあり爪の辺縁にサイズの大きい肉芽腫を認める様な場合はまず抗菌薬の内服や外用、痛み止めの内服、アンカーテーピング法、ガター法を組み合わせて治療いたします。一定期間これらを組み合わせて治療しても効果が認められない方、6ヶ月以上陥入爪でお悩みの方には以下の手術を提案いたします。
フェノール法
痛みの原因となる爪の端を3mm程度、爪の根っこごと除去し抜いた部分をフェノールという薬品で処理する外科的な治療法です。多くの場合は術直後より痛みが軽減できます。爪の幅が少し狭くなること、施術後数日は抗菌薬の内服を要することが注意点となります。
アンカーテーピング法やガター法を試したが無効だった方に試して頂きたい治療法です。
フェノール法についての詳細はこちら
ワイヤーを使用した爪矯正
特殊なワイヤーを爪に装着してワイヤーの弾性力を用いて爪を平らに導きます。矯正期間は数ヶ月必要です。矯正している間の日常生活の制限は特にございません。
残念ながら水虫などで爪が極端に厚い方、深爪をした直後の方には施術をすることが困難です。自費診療になります。
陥入爪・巻き爪に関する疑問・質問
爪の切り方に関して
深爪は陥入爪を誘発しますので禁止です。特に爪の側縁を切る場合は注意して下さい。
巻き爪は治療した方が良いですか?
難しい質問です。巻き爪は陥入爪の予備軍だと言われておりますがどれくらいの割合で陥入爪に進行するかは今現在定かではありません。矯正はいずれの医療施設でも自費診療となることを考えますと痛みなどの症状を繰り返している様でなければ経過観察で良いのではと当院では考えております。
アンカーテーピング法は自分で出来ると聞いたのですが実際可能ですか?
当院では外来受診時に時間をかけて説明させて頂いておりますのでほぼ100%の方が御自身で正しくテーピングが出来ていると思います。
ガター法について詳しく教えて下さい。
- 施術時間:10分
- 施術時の痛み:局所麻酔下で行いますので施術中は痛みはありません。
- 効果:指先→趾先
- 施術後の状況:御自身で歩いて帰れます。
- 注意点:チューブ挿入中の激しい運動はチューブが取れる原因となりますのでお控え下さい。
フェノール法について詳しく教えて下さい。
- 施術時間:15分
- 施術時の痛み:局所麻酔下で行いますので施術中は痛みはありません。
- 効果:症状の程度にもよりますが一般的には数日で趾先の痛みが取れてきます。また肉芽を伴う場合も数日で縮小していきます。
- 施術後の状況:御自身で歩いて帰れます。
- 注意点:爪の幅が少し狭くなること、施術後数日は抗菌薬の内服を要することが注意点となります。
巻き爪の場合矯正はした方が良いですか?
巻き爪は痛みを伴う爪囲炎や陥入爪に発展する可能性がありますので矯正した方が望ましいのは事実です。しかし必ずこれらの疾患に進行するとも言えない為に絶対矯正が必要なわけでもありません。また残念ながら現状の医療制度では矯正は自費治療となります。矯正をお考えの方はその点も考慮し矯正するか否かを御一考下さい。