帯状疱疹

帯状疱疹

※当クリニックの院長は皮膚科医でペインクリニック学会専門医の資格を取得している国内数少ない医師の一人です。そのため帯状疱疹、帯状疱疹後神経痛の治療を積極的に行っております。

突然、顔やお腹、胸など身体の一部の片側に違和感を感じ数日後に赤いブツブツが島状に出現する。-----帯状疱疹はこんな症状で始まります。
水疱瘡と同じウィルスによって引き起こされるこの疾患は主に40歳以降に認められますが稀に小学生や10代でも発症します。

帯状疱疹について知っておきたいこと

「ワクチンで発症を予防することが出来る」そして「早期診断・早期治療が大変大事」ということです。
※ワクチンに関しては下の帯状疱疹の発症予防法の項目に詳細を記載しておりますのでそちらを御覧ください。
帯状疱疹は皮膚と供に神経に炎症が起こる病気であり痛みが主症状のことが多いのですが、できるだけ早くきちんとした治療を受けること、そして身体を休めることでその炎症を鎮めることが出来ます。

帯状疱疹の治療で痛みを取り除くことが大変重要といわれる理由は痛みは不快ということもありますが、痛みによって身体を十分に休めることが出来ないと治癒過程の妨げになるからともいわれています。

また皮膚の症状は治まったのに、痛みだけが6か月以上続く状況を帯状疱疹後神経痛といいます。現在、この帯状疱疹後神経痛を確実に治す方法はありません。このような状況に陥らないためにも、疑わしい場合は早期から適切な医療施設を受診することをおすすめします。

帯状疱疹の診断方法

患者さんへの詳しい問診と注意深い皮膚所見の観察です。
※ウィルス抗原キットを用いることもありますがこれは診断をつけるための検査というより診断の裏付けのための検査という位置づけです。

典型的な経過は以下様です。
皮疹が出始める数日前から身体の左右いずれか側の一部がチクチク、ピリピリします。この時点で整形外科や内科を受診される方も多くいます。数日後に赤い皮疹が島状に疼痛部位に出現します。多くの方はこの時点で皮膚科に受診し帯状疱疹と診断されます。

注意点

  • 帯状疱疹の皮疹は身体の左右いずれか側の一部に出現します。左右両側に出現することはほぼありませんし、顔と下肢のように離れた部位に同時に出現するということもありません。
  • 皮疹が出ていないので帯状疱疹ではないというのは誤りです。無水疱性帯状疱疹といって皮疹が出現しないタイプの帯状疱疹も存在します。
  • 顔や頭に帯状疱疹が出現すると顎や耳付近のリンパ節に炎症が起こり痛みを呈することがございます。また腹部に帯状疱疹が出現すると鼠径部付近のリンパ節に炎症が起こり痛みを呈することもあります。

帯状疱疹の治療方法

  • 抗ウィルス薬+(一般的な)鎮痛薬+安静
    帯状疱疹を疑ったらまずこの治療法です。当初からある程度の疼痛を伴う場合や、はじめはあまり痛くなかったのに水疱が治りかかる頃から痛みが強くなる場合もあります。痛みの程度は患者さんごとに異なります。少々の痛みがあっても発病前と同じ生活レベルを維持できる場合や、皮膚の症状が軽い場合はこちらの治療となります。
  • 主に痛みの専門家が使用する鎮痛薬+神経ブロック治療
    痛みのためにそれまでの仕事や生活ができない場合や、夜眠れない・食欲がないなどの場合はできるだけ早期にこれらの治療を開始する必要があります。痛みを不快ですし我慢していると、体力が消耗して回復が遅れ皮膚が治っても痛みが長い間持続してしまう状況(帯状疱疹後神経痛)になりかねないからです。

※痛みの専門家が使用する鎮痛薬
帯状疱疹の痛みは神経障害性疼痛といわれる痛みで怪我や火傷などの痛みとは異なりチクチク、ピリピリすることがしばしばです。この様な痛みを適切に対処するには一般の皮膚科ではあまり使用することのない少し特殊な痛み止めを使用する必要があります。

※神経ブロック
内服治療に反応が乏しい場合や疼痛が著しい場合などは内服療法と併行して行い、有効な場合もしばしばです。ただし神経ブロックを行うには特殊な技術を要し、治療を受けられるのはペインクリにシャンの認定を受けている医師のいる施設のみとなります(当クリニックの院長は皮膚科医でその資格を取得している数少ない医師の一人です)。

帯状疱疹の痛みでお困りの方へ

帯状疱疹の痛みで当院を受診される患者さんを拝見しますと改善の余地が残されている方も多くいらっしゃいます。
具体的には適する薬が使用されていない、適する薬は使用されているが適量ではない、神経ブロックがよい適応なのに施行されていないなどです。
もちろん一部には残念ながら改善の余地がない方もいらっしゃるのは事実です。その見極めも含め、なるべく早く専門的な痛みの治療ができる施設を受診することをおすすめいたします。

帯状疱疹の発症予防法

帯状疱疹は80才までに約3人に1人がなる疾患です。若い方は比較的、軽症で終わることが多いのですが高齢者の場合や、顔や陰部に皮疹が出現するタイプは帯状疱疹後神経痛と言って難治性の痛みが長い間続く状況に移行しやすい傾向があります。そのため当院でもワクチン接種による発症予防を推奨しております。
現在日本には2種類のワクチンがありますので以下に詳細を記載いたします。
選択のポイントは「お金がかかっても良いので絶対に予防したい⇒シングリックス」、「少し心配だけどお金はそんなにかけたくない⇒ビケン」ということになると思います。
※ワクチン接種を御希望の方は事前に電話にてご予約をお願いします。

ビケン(乾燥弱毒生ワクチン) シングリックス
対象 50才以上 50才以上
摂取回数 1回 2回(2ヶ月空けて、遅くとも6ヶ月後までに)
摂取方法 皮下注射 筋肉内注射
効果 帯状疱疹の発症予防率:約50% 帯状疱疹の発症予防率:約90%
帯状疱疹後神経痛の発症予防率:約60% 帯状疱疹後神経痛の発症予防率:約90%
効果持続期間 5年前後 少なくとも9年間
副反応 接種後1~3週間後に発熱、2~3%の確率で全身性の水痘様発疹。 局所反応:注射部位の痛み 約80% 、全身反応:筋肉痛40%、疲労感40%、頭痛30%、発熱20%
費用 ¥9,900 ¥22,000
コロナワクチン 2週間空ける 2週間空ける
注意事項
  • 化学療法やステロイドなど免疫を抑える治療をしている方、妊婦さん、HIVに感染している方には接種不可(生ワクチンの為に帯状疱疹発症のリスク有)
  • エリスロマイシンアレルギーの患者さんには接種不可
  • 副反応は3~7日で治まる。
  • 免疫抑制患者さんにも接種が可能。

※効果や効果持続期間は年齢で上下いたします。

帯状疱疹に関する疑問・質問

帯状疱疹は「うつる」の?

帯状疱疹の発症原因が水ぼうそうのウィルスなのでうつりそうですが結論から言えばうつりません。帯状疱疹ではウィルスは水ぼうそうの時と異なり神経を通って広がります。その為に外に対する感染力はほとんどないと考えられています。ただし大変稀な型ではあるのですが汎発性帯状疱疹と言って全身に帯状疱疹が出現する場合があります。この場合はウィルスが血流に乗って全身に広がるために帯状疱疹が人にうつる可能性があるようです。また外に対する感染力がほとんどないと言っても水ぼうそうにかかったことのない小児などには可能性は低いですが水ぼうそうとしてうつる可能性があるので少し注意が必要です。最後に水ぼうそうの方に接すると帯状疱疹が発症する可能性はあるのでしょうか?これは医学的には考えづらいと思います。

上記は以下の様にまとめられると思います。
帯状疱疹 → 帯状疱疹  ✖
帯状疱疹 → 水ぼうそう 稀だけどある
水ぼうそう → 帯状疱疹 ✖

妊婦や授乳婦が帯状疱疹に感染したら?

まず妊娠中に帯状疱疹を患った場合ですが帯状疱疹は基本的に神経を通って広がるため胎児には影響はありません。また妊婦が帯状疱疹の治療薬である抗ウィルスを内服可能か否かに関しては薬の添付文書上は「妊婦もしくは妊娠している可能性のある婦人には治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合のみに使用すること」とあります。ちなみに米国の有名なサイトでも同様の記載がされていました。
次に授乳婦が帯状疱疹を患った場合ですが稀ではありますが児に水ぼうそうとして感染する可能性があります。また授乳婦の抗ウィルス薬の内服に関してですが日本の薬の添付文書には授乳婦への投与は慎重に行うことと記されておりますが米国のサイトでは授乳に問題はないと書かれております。それでも心配な方は服用後2時間でバルトレックスの血中濃度がピークになりますので授乳後に薬を飲むことをオススメします。

帯状疱疹後神経痛

神経が既に壊れてしまった状態です。具体的には皮膚がきれいに治ったあとも痛みが残ります。この様な痛みは帯状疱疹後神経痛といい治療が大変難しい痛みで「今感じている痛みを少なくする」ことが治療の目標となります。

帯状疱疹後神経痛に関して知っておきたいこと

帯状疱疹後神経痛に移行しやすい患者さんを以下に示します。

  • 高齢で皮疹のひどい方
  • 帯状疱疹の治療を受けるタイミングが遅かった方
  • 十分な痛み治療を受けることができなかった方

帯状疱疹後神経痛の診断方法

  • 患部を触ってもわからない
  • 患部が少し擦れるだけで痛い
  • 焼け付くような痛みがある
  • 電気が走るような痛みがある
  • 眠っているときはほとんど痛みを感じない

帯状疱疹の皮疹がきれいに治ったのに上記の様な状態が継続している方は帯状疱疹から帯状疱疹後神経痛に移行した可能性があります。

帯状疱疹後神経痛の治療

現在確実に治す方法はありませんが近年、症状を緩和するための薬が様々開発されております。また一部には神経ブロックが有効な方もいらっしゃいます。お困りの方は一度医師にご相談ください。

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