帯状疱疹
※当院の皮膚科は院長がペインクリニック学会専門医ということもあり帯状疱疹、帯状疱疹後神経痛の治療を積極的に行っております。
突然にお腹や胸、大腿部が何となく痛痒くなり数日後同部位の皮膚に赤いぶつぶつが島状に出現する-----帯状疱疹はこんな症状で始まります。
水疱瘡と同じウィルスによって引き起こされるこの疾患は主に高齢者に見られる疾患ですが稀に小学生でも発症します。
帯状疱疹は適切な治療を受ければ普通は1ヶ月以内によくなる疾患です。
帯状疱疹について知っておきたいこと
「ワクチンで発症を予防することが出来る」そして「早期診断・早期治療が大変大事」ということです。
※ワクチンに関しては下の帯状疱疹の発症予防法の項目に詳細を記載しておりますのでそちらを御覧ください。
罹患してしまった場合、出来るだけ早く発見してきちんとした治療を受けて「痛みを取り除く」ことが大変重要なのですがそれはなぜでしょうか?その答えは帯状疱疹は神経の炎症のために起こる皮膚炎なので・・・・・。
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帯状疱疹の診断方法
患者さんへの詳しい問診と注意深い皮膚所見の観察です。具体的には特徴的な痛みと島状に集族する水疱疹が多くの場合確認できます。
※採血結果で抗体を調べることがありますがこれは診断をつけるための検査というより診断の裏づけのための検査となります。
帯状疱疹の治療方法
- 抗ウィルス薬+鎮痛薬:帯状疱疹とわかったらまずこの治療です。はじめはあまり痛みがない人でも途中から痛くなったりすることがありますのでこの治療は必需です。この治療でほとんどの患者さんはよくなります。
- 入浴:基本的にはオススメいたしますが一部皮膚の症状がひどい方には控えて頂きます。担当医師に確認下さい。
- 神経障害性疼痛治療薬:帯状疱疹の痛みは神経障害性疼痛と呼ばれ怪我や火傷などの一般的な痛みとは異なる性状の痛みです。近年この様な痛みに有効な内服薬がいくつか発売されていますので通常の内服薬の効果が乏しい方にはこちらを処方いたします。
- 神経ブロック:残念ながら内服治療に反応が乏しい方もおられます。その様な方には内服薬と併行して施行する治療でかなり有効です。ただし神経ブロックを行うには特別な技術が必要とされ治療を受けられるのは基本的にペインクリニシャンの認定を受けている医師のいる施設のみとなります。その点当クリニックの院長はペインクリニック学会専門医を取得しており神経ブロックを用いた帯状疱疹の治療も行っております。
帯状疱疹の発症予防法
帯状疱疹は80才までに約3人に1人がなる疾患です。若い方は比較的、軽症で終わることが多いのですが高齢者の場合や、顔や陰部に皮疹が出現するタイプは帯状疱疹後神経痛と言って難治性の痛みが長い間続く状況に移行しやすい傾向があります。そのため当院でもワクチン接種による発症予防を推奨しております。
現在日本には2種類のワクチンがありますので以下に詳細を記載いたします。
選択のポイントは「お金がかかっても良いので絶対に予防したい⇒シングリックス」、「少し心配だけどお金はそんなにかけたくない⇒ビケン」ということになると思います。
※ワクチン接種を御希望の方は事前に電話にてご予約をお願いします。
ビケン(乾燥弱毒生ワクチン) | シングリックス | |
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対象 | 50才以上 | 50才以上 |
摂取回数 | 1回 | 2回(2ヶ月空けて、遅くとも6ヶ月後までに) |
摂取方法 | 皮下注射 | 筋肉内注射 |
効果 | 帯状疱疹の発症予防率:約50% | 帯状疱疹の発症予防率:約90% |
帯状疱疹後神経痛の発症予防率:約60% | 帯状疱疹後神経痛の発症予防率:約90% | |
効果持続期間 | 5年前後 | 少なくとも9年間 |
副反応 | 接種後1~3週間後に発熱、2~3%の確率で全身性の水痘様発疹。 | 局所反応:注射部位の痛み 約80% 、全身反応:筋肉痛40%、疲労感40%、頭痛30%、発熱20% |
費用 | ¥9,900 | ¥22,000 |
コロナワクチン | 2週間空ける | 2週間空ける |
注意事項 |
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※効果や効果持続期間は年齢で上下いたします。
帯状疱疹に関する疑問・質問
帯状疱疹は「うつる」の?
帯状疱疹の発症原因が水ぼうそうのウィルスなのでうつりそうですが結論から言えばうつりません。帯状疱疹ではウィルスは水ぼうそうの時と異なり神経を通って広がります。その為に外に対する感染力はほとんどないと考えられています。ただし大変稀な型ではあるのですが汎発性帯状疱疹と言って全身に帯状疱疹が出現する場合があります。この場合はウィルスが血流に乗って全身に広がるために帯状疱疹が人にうつる可能性があるようです。また外に対する感染力がほとんどないと言っても水ぼうそうにかかったことのない小児などには可能性は低いですが水ぼうそうとしてうつる可能性があるので少し注意が必要です。最後に水ぼうそうの方に接すると帯状疱疹が発症する可能性はあるのでしょうか?これは医学的には考えづらいと思います。
上記は以下の様にまとめられると思います。
帯状疱疹 → 帯状疱疹 ✖
帯状疱疹 → 水ぼうそう 稀だけどある
水ぼうそう → 帯状疱疹 ✖
妊婦や授乳婦が帯状疱疹に感染したら?
まず妊娠中に帯状疱疹を患った場合ですが帯状疱疹は基本的に神経を通って広がるため胎児には影響はありません。また妊婦が帯状疱疹の治療薬である抗ウィルスを内服可能か否かに関しては薬の添付文書上は「妊婦もしくは妊娠している可能性のある婦人には治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合のみに使用すること」とあります。ちなみに米国の有名なサイトでも同様の記載がされていました。
次に授乳婦が帯状疱疹を患った場合ですが稀ではありますが児に水ぼうそうとして感染する可能性があります。また授乳婦の抗ウィルス薬の内服に関してですが日本の薬の添付文書には授乳婦への投与は慎重に行うことと記されておりますが米国のサイトでは授乳に問題はないと書かれております。それでも心配な方は服用後2時間でバルトレックスの血中濃度がピークになりますので授乳後に薬を飲むことをオススメします。
帯状疱疹後神経痛
神経が既に壊れてしまった状態です。具体的には皮膚がきれいに治ったあとも痛みが残ります。この様な痛みは帯状疱疹後神経痛といい治療が大変難しい痛みで「今感じている痛みを少なくする」ことが治療の目標となります。
帯状疱疹後神経痛に関して知っておきたいこと
帯状疱疹後神経痛に移行しやすい患者さんを以下に示します。
- 高齢で皮疹のひどい方
- 帯状疱疹の治療を受けるタイミングが遅かった方
- 十分な痛み治療を受けることができなかった方
帯状疱疹後神経痛の診断方法
- 患部を触ってもわからない
- 患部が少し擦れるだけで痛い
- 焼け付くような痛みがある
- 電気が走るような痛みがある
- 眠っているときはほとんど痛みを感じない
帯状疱疹の皮疹がきれいに治ったのに上記の様な状態が継続している方は帯状疱疹から帯状疱疹後神経痛に移行した可能性があります。
帯状疱疹後神経痛の治療
神経ブロックを中心に様々な方法が必要となりますので医師に御相談下さい。