アトピー性皮膚炎(成人)
近年では皮膚のバリア機能が低下しアレルギーになりやすい体質となり発症すると言われてます。その為アトピーの患者さんの治療では湿疹の治療と供に日常生活でのスキンケアが非常に大事となります。
外来では外用薬を使用するうえでの注意点・皮膚を良い状態に保つ為の日常生活のポイント・症状の今後の見通しを中心にオリジナルのパンフレットを用いてお話させて頂きます。
薬を塗っている時は良いがやめると症状が再燃してしまう方・治療の見通しがたっていない方などは御相談下さい。
アトピー性皮膚炎はしっかりとした検査と適切な治療を行えば完治とはいきませんが良い状態を維持できる疾患です。
診療の流れ
- <初診>
診察室で問診、視診、触診を行い各人の症状や生活環境に適する治療方法を決定し説明します。その後にスタッフが実際に患者さんの身体の一部に外用薬を塗りますのでその際に薬の正しい使用方法を確認して頂きます。※1
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診察後、患者さんの状況によりTARC値の測定やアレルギー検査を行う場合もございます。
※TRAC値:アトピー性皮膚炎の病勢を反映する採血値です。アトピー性皮膚炎の症状は日々変化し診察時に症状を拝見しても本当の病勢を捉えてるとは言いがたく真の病勢を捉えるにはこの検査が必要になります。つまりTARC値が上がっている患者さんは一見症状が落ち着いている様でも皮膚炎を再燃してしまう可能性が高く逆にTARC値が下がっている患者さんは一見症状が悪化しているようでも落ち着いてくる可能性が高いということがわかります。
- <2回目>
治療の効果を確認します。またTARC値の測定やアレルギー検査を行った方には結果をご説明しこれらに基づいて日常生活での注意点や今後の治療計画をお話いたします。
アレルギー検査結果に関して疑問や質問がある方は遠慮なくお聞きください※2。
- <2回目以降>
各人の状況に合わせて再診して頂きその都度皮膚の状態や季節、生活環境を考慮した治療を行っていきます。その時点で疑問や質問がある方は遠慮なくお聞きください。
※1 外用薬はただ塗れば良いというわけではありません。アトピー性皮膚炎の方は皮膚がデリケートですので塗る量・塗るタイミング・塗り方に特に注意を払う必要があります。
※2 採血によるアレルギーの検査を行うと食べ物の項目で検査結果は陽性ですが実際には食べれるという結果をしばしば目にします。ダニやペットなど他の項目も同様ですが、血結果に併せてこれまでの経過などの情報を総合してアレルギー物質なのか否かを判断する必要があります。
アレルギーに関してはこちらを御覧ください。
※外用薬はただ塗れば良いというわけではありません。アトピー性皮膚炎の方は皮膚がデリケートですので塗る量・塗るタイミング・塗り方に特に注意を払う必要があります。
治療法
- ステロイド外用薬
- 抗アレルギー内服薬
- 免疫抑制剤内服薬・外用薬
- 生物学的製剤(デュピクセント):上記薬剤を使用するも十分な症状緩和が認めない場合に用います。
※詳細に関してはこちらを御覧ください。
生活習慣に関する注意点
食生活で注意が必要な代表的なもの
- 香辛料やアルコールの摂取:かゆみを引き起こします。
- コンビニのお弁当やお惣菜、レトルト食品:添加物がアレルギーを引き起こす原因となります。
- ニッケルが多く含まれるもの:チョコレート、コーヒー、渋みのあるお茶、海藻、大豆など
- クロムが多く含まれるもの:あさり、シジミ、海藻など
アトピー性皮膚炎の患者さんの1/4が金属アレルギーを合併すると言われています。その為に金属が多く含まれる上記の様な食べ物には注意が必要です。
アトピー性皮膚炎と歯科治療
アトピー性皮膚炎の患者さんの25%は金属アレルギーを合併するという報告もあるため歯に金属をかぶせる様な治療を受ける際には注意が必要です。その様な場合は金属ではなくノンメタリック物質であるハイブリットセラミックやジルコニアが良いと思います。詳しくは金属アレルギーに造詣の深い歯科医に相談してみましょう。
服に関して
肌に直接接触する服は柔らかいコットンでできたものが良いとされてます。また洗剤のすすぎ残しにも注意が必要です。服を通常通り洗った後にもう一度洗剤なしで洗うのも良いと思います。
汗に関して
最近積極的に汗をかくとアトピー性皮膚炎の皮疹が改善する例があることが明らかになってきました。「汗はアトピー性皮膚炎の増悪因子」とは必ずしも言えないようです。最近の見地ではかいた汗をそのままにするのが皮膚に良くないようですので汗をかいたらすぐ洗い流すもしくは塗れたタオルでふき取りましょう。
※汗には保湿機能・感染防御機能・体温調節機能などの効用があります。
乾燥に関して
乾燥は痒みを誘発します。冬は加湿器を使用してください。