アトピー性皮膚炎
痒みのある湿疹が顔や頭、首、手足の関節の内側部位に出現し、保湿剤や外用薬の効果が一時的もしくは無効な場合はアトピー性皮膚炎の可能性があります。発症早期から「正しいスキンケア」「適切な薬物療法」「アレルギー物質からの回避」を実践することで将来的には症状がない、またはあっても日常生活に支障がない軽度の軽微な状況まで治療が可能と言われております。
保湿剤や処方薬を使用しても症状が改善しない、もしくは改善と再燃を繰り返している場合などは一度ご相談いただければと思います。
診療の流れ
- <初診>
診察室で問診、視診、触診を行い各人の症状や使用薬剤の状況を確認いたします。その後にスタッフが実際に身体の一部に外用薬を塗りますので、その際に薬の正しい使用方法を確認して頂きます※1。
6歳以上もしくは採血が可能なお子さんの場合はTARC値の測定とアレルギー検査を採血室で行い帰宅となります※2。
- <2回目>
治療の効果を確認します。またTARC値とアレルギー検査の結果をご説明しこれらに基づいて日常生活での注意点や今後の治療計画をお話いたします。
アレルギー検査結果に関して疑問や質問がある方は遠慮なくお聞きください※3。
- <2回目以降>
各人の状況に合わせて再診して頂きその都度皮膚の状態や季節、生活環境を考慮した治療を行っていきます。その時点で疑問や質問がある方は遠慮なくお聞きください。
※1 外用薬はただ塗れば良いというわけではありません。アトピー性皮膚炎の方は皮膚がデリケートですので塗る量・塗るタイミング・塗り方に特に注意を払う必要があります。
※2 TRAC値:アトピー性皮膚炎の病勢を反映する採血値です。アレルギー検査:ダニやハウスダスト、ペット、食べ物など、どのような悪化要因が関わっているかをチェックいたします。
※3 採血によるアレルギーの検査を行うと食べ物の項目で検査結果は陽性ですが実際には食べれるという結果をしばしば目にします。ダニやペットなど他の項目も同様ですが、採血結果に併せてこれまでの経過などの情報を総合してアレルギー物質なのか否かを判断する必要があります。
アレルギーに関してはこちらを御覧ください。
治療法
- 保湿剤
- ステロイド外用薬
- 生物学的製剤(デュピクセント)
上記薬剤を正しく使用するも十分な症状緩和が認めない場合に用います
※詳細に関してはこちらを御覧ください。
また以下にデュピクセントを小児に使用するうえで知っておいていただきたいことを記載いたします。
デュピクセントとは
ステロイド外用薬や抗ヒスタミン薬とは異なり、生物学的製剤という区分に分類される薬剤です。成人、小児供にアトピー性皮膚炎でお悩みの方にとって切り札的な効果が期待できます。15歳以上に関しては2018年4月~国内での使用が開始され、2023年9月~生後6ヶ月からの小児に投与が可能になりました。
成人の場合、薬が高額な点が導入のネックになっておりましたが小児の場合、東京23区在住の方は医療証を提示することで18歳まで無償で治療を受けていただけます。
デュピクセント治療の実際
小児の場合、「2週間に1回の注射」ということが導入のネックです。イメージ的には糖尿病の方が打っているインスリン注射が近いと思います。薬剤の有効性や安全性が確認できたら自宅でご両親に打っていただく、在宅自己注射への移行も可能です。その場合、3ヶ月に1回の通院でよくなります。
※デュピクセントは2週間に1回の頻度で一定期間打っていく必要のある薬剤です。そのため暴れてしまう児を抑えて注射するようなことは行っておりません。
- <小児特有の点>
アレルギー物質の関与が挙げられます。そのため「正しいスキンケア」「適切な薬物療法」「アレルギー物質からの回避※」+デュピクセントというイメージを持つ必要があります。
※採血結果に併せてこれまでの経過などの情報を総合してアレルギー物質なのか否かを判断する必要があります。